2010年代に入って以降「インバウンド需要」という言葉をよく耳にするようになりました。
2018年には訪日外国人数が3000万人を突破し、今後も上昇すると考えられていましたが、新型コロナウイルスの影響でインバウンド需要は激減し、現在も回復していません。
インバウンド需要はいつ頃コロナ前のように戻ると予測されているのでしょうか。
この記事では今後のインバウンド需要の予測や、日本のインバウンド需要の回復が見込める理由について解説します。
インバウンド業界で仕事をしたいと考えている方も必見です。
日本の訪日観光者数は2013年に1000万人を突破して以降、順調にその数を増やし、2016年には2000万人を突破、2018年には3000万人を突破していました。[注1]
政府は2020年に4000万人、2030年に6000万人突破を目指していましたが、新型コロナウイルスの影響で、2020年の訪日外国人数は412万人まで激減しています。
なかなかコロナが終息しないのでいつ戻るか不明瞭な現状ですが、国連世界観光機関(UNWTO)による2021年3月の発表では、国際線の運航がコロナ禍前の2019年の水準に戻るのは2024年と予測されています。
入国規制が少しずつ緩和されてきましたが、観光目的での入国に対するビザ査証はまだ停止されており、すぐにインバウンド需要が回復するとは言えません。
ワクチン接種者が増えていることから、観光目的の入国規制が解除された際にはアジア地域を中心に日本のインバウンド需要が高まるのではないかと考えられていますが、もうしばらく時間はかかってしまうでしょう。
[注1]観光庁|訪日外国人旅行者数・出国日本人数
日本のインバウンド需要はなかなか回復の兆しがありませんが、国連世界観光機関(UNWTO)の発表によると、アメリカ大陸やヨーロッパの各国では、観光目的での海外渡航に回復の兆しが見えています。
アメリカ大陸での回復率は17%、ヨーロッパでは19%です。
コロナ禍前に比べると未だ62〜63%減の状態ですが、少しずつ改善に向かっていると言えるでしょう。
SNSなどを見ても、国を跨いで旅行をしている人たちも増えています。
小規模地域を含めてみると、最も回復の兆しが見られるのはカリブ海地域です。
コロナ禍前の水準と比べると37%減ですが、2021年は2020年を63%上回っています。
一部の国ではコロナ禍前の水準に近づいているところもあるようです。
また、南地中海ヨーロッパと中央アメリカも比較的回復してきています。
ただ、アジア・太平洋地域では多くの都市で不要不急の渡航を禁じており、入国規制もあったため、まだ目に見えた回復の兆しはありません。
2021年の国際観光客到着数の伸び率は2019年と比べて94%減となっています。
世界全体で見ても2019年比で-72%ですから、まだまだ楽観視はできません。
しかし、レジャーでの行動範囲を少しずつ広げている人が増えている今、今後の回復には光が見えます。
渡航制限の解除や入国規制緩和、ワクチン接種者の増加により、旅行への安心感が回復すれば、日本のインバウンド需要の期待も高まるでしょう。
国連世界観光機関(UNWTO)によると、2024年までには国際線の運航がコロナ禍前の水準に戻ると言われており、渡航制限の解除や入国規制緩和が進めば、日本のインバウンド需要の回復に期待が持てると言われています。
どうして、日本はインバウンド需要の回復が見込めるのでしょうか。
その理由を解説します。
日本はアジア圏からの人気がかなり高く、日本政策投資銀行と公益財団法人日本交通公社が行った調査では、アジア居住者の回答で日本への旅行を希望する人が最多となりました。
また、日本政府観光局(JNTO)が日本最大のインバウンドマーケットである中国のSNS・微信のフォロワーを対象にして行った「いつ海外旅行をしたいか」のオンライン調査では、79%の人が往来再開後1年以内に海外旅行をしたいと考えていることがわかっています。
このことから考えても、往来が再開すれば中国をはじめとしたアジア諸国から、日本への海外旅行をする人はかなり増えると予想できます。
アジア圏の国々から旅行先として人気が高い日本ですが、世界的に見ても人気が高いことがわかっています。
長時間フライトになりがちなヨーロッパ、アメリカ、オーストラリアからのインバウンド需要回復は、アジア圏からのインバウンド需要回復よりも遅れてしまう可能性はありますが、日本を訪れたいと考えている人は依然たくさんいることがわかります。
1996年にアウトバウンド700万人突破を目指して推し進められた「ウェルカムプラン21」や、2003年に政府が観光立国を目指すために掲げた「ビジット・ジャパン・キャンペーン」など、日本はこれまでインバウンドに力を入れてきました。
その成果もあって、2013年には訪日外国人者数は1000万人を突破し、2016年には2000万人、2018年には3000万人を超え、政府は目標を「2020年に4000万人、2030年に6000万人」と上方修正し、このまま右肩上がりで上昇すると予測されていました。
その後、新型コロナウイルスの影響で、2020年の目標が達成されることはありませんでしたが、外国人にとって日本が旅行したいと思える魅力的な国であることは明白です。
コロナが終息し世界的に海外旅行が当たり前に楽しめる世の中に戻れば、日本へのインバウンド需要はまた高まっていくと考えられるでしょう。
本政策投資銀行と公益財団法人日本交通公社が行った調査によると、多くの外国人が日本に「清潔」「治安がいい」「食事が美味しい」といういいイメージを持っていることがわかっています。都会的な一面と豊富な自然の両方をコンパクトに併せ持つ日本は、一度の旅行でさまざまな楽しみが得られる魅力的な観光地としてイメージがいいです。
また、日本独自の文化は他の国にはない魅力があります。特に欧米の人から見ると、自国の文化とは大きく違う魅力があるようです。アジア圏の人から見ても、島国である日本は独特の文化を持っていますから、「一度は訪れたい国」として考えられているのでしょう。
日本にとってインバウンドは重要なものであり、国としてもコロナ終息後にはインバウンド回復に向けた取り組みは急務であると考えられています。
インバウンド回復のために、誘客可能となった国に対しては、速やかに訪日プロモーションを行うという方針を掲げており、メディアやSNSを使っての日本政府観光局による海外プロモーションも計画されているようです。
2020年の訪日外国人者数は残念ながら達成できませんでしたが、2030年に6000万人を突破させるという目標は変更されておらず、前向きにインバウンド回復に向けて取り組みを行っていくはずです。
企業や各観光地も、これに合わせてプロモーションを行っていくでしょうから、コロナが終息すれば日本のインバウンド需要は、コロナ前のように高まりを見せると考えられるでしょう。
現状為替レートは円安傾向です。
円安になると、日本を訪れた外国人はコストを抑えて日本での滞在を楽しめます。
中国人観光客の間で爆買いが流行ったのも、ウォンに対して円安だったことが大きく影響していると言えるでしょう。
もちろん常に円安なわけではありませんし、コロナ終息後にどう変化するかは現時点で予測できないところもあります。
ただ、その時にも円安傾向が続いていれば、日本で旅行を楽しみたいと思う外国人は多いはずです。
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世界中が大きな打撃を受けた新型コロナウイルスによって、日本のインバウンド需要は大きく低下しました。
しかし、日本は外国人から見ても魅力が高く、旅行したい国として人気があります。
コロナ禍前のような世の中が戻ってくれば、日本のインバウンド需要は再び高まるでしょう。
いつ戻るかはっきりとはわかりませんが、コロナ終息後を見据えて、インバウンド対策に取り組んでいる企業も多いです。
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